
食の常識を変えた男、丸元淑生
料理研究家/作家(1934ー2008)
大分県生まれ。東京大学文学部仏文学科卒。
編集者としてのキャリアを経て、アメリカの最新栄養学に触発され、独自の「システム料理学」を提唱。
「短時間で、栄養豊かで、心と体が元気になる料理」を追求し、家庭料理の可能性を広げた先駆者。
著書多数

丸元淑生氏の言葉


淑生氏は、「健康的な料理」について次のような考えを述べています
「よい食事をしたあとは、腹にしっかり納まった感じで気分がよい。
腹七、八分しか食べていないのに満ち足りている。
食後にじわじわエネルギーが湧いてくるし、頭も冴える。
誰が考えても、そういう食事を与えられている子供は幸せである。
おじいちゃんもおばあちゃんも元気で活動的に過ごせる。
ご主人はばりばり仕事ができるだろう。
私はそういう食事をヘルシーな食事と呼びたいのだが、問題はどういう料理を作ったら、そういう食事になるかである」
そこで淑生氏が追求したのは、限られた時間の中でヘルシーな食事を毎日無理なく作ることのできるシステムの確立でした。
ムダなプロセスをすべて省き、必要最小限の手間だけで構成されているのが淑生氏のレシピの特徴です。
だからと言って、手抜きの時短料理ではありません。
栄養価が二の次にされたり、味がいまいちになったりはしていません。
栄養価と味はあくまで最高のレベルを追求していて、その点では妥協を排しています。
誰もが短い時間で簡単においしく作ることができて、「これを食べていれば元気になれる」と実感していただける、丸元淑生レシピです。

主な書籍
料理家・栄養研究家としての丸元淑生

「食は命を育む知恵である」——丸元淑生氏は、料理を単なる技術ではなく、健康と人生を支える“システム”として捉えました。
1970年代から一貫して、最新の栄養学に基づいた合理的で美味しい家庭料理を提案し続け、数々の著作を通じて多くの人々の食生活に革新をもたらしました。
代表的な著作には、
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『丸元淑生のシステム料理学』(ちくま文庫)
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『システム自炊法』(中公文庫)
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『たたかわないダイエット』(講談社+α文庫)
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『短命の食事 長命の食事』(ワニブックスPLUS新書)
などがあり、どれも「手間をかけずに、栄養価を最大限に引き出す」ことを追求した実践的な内容です。
彼の料理哲学は、ホリスティックな視点からの食のあり方を考えるうえで、今なお多くの示唆を与えてくれます。
作家・文筆家としての丸元淑生

丸元氏は、料理研究家として知られる以前から、文芸の世界でも活躍していました。
1978年『秋月へ』で芥川賞候補となり、以後も『鳥はうたって残る』『羽ばたき』『遠い朝』などで文学賞候補に。
社会や人間の内面に鋭く切り込むその筆致は、料理書とはまた異なる深い魅力を放っています。
代表的な文学作品には、
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『秋月へ』(中央公論社)
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『鳥はうたって残る』(文藝春秋)
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『生命の鎖』(飛鳥新社)
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『地方色』(文藝春秋)
などがあり、いずれも人間の営みと時代の空気を繊細に描き出しています。
料理と文学——両者に通底するのは、「生きることへの誠実なまなざし」
丸元氏の言葉は、読む人の心に静かに、しかし確かに響きます。
