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消化と吸収を助ける「ヨガ的な食事」㉔【by 平田ホリスティック教育財団 理事 丸元康生】

 以前、神奈川県茅ケ崎市の海側に住んでいました。どこまで歩いてもずっと平坦なエリアなので、散歩するには最高でした。いや!最高だと思っていました。

 今暮らしているのは静岡県の伊豆高原ですが、こちらはどこに行くにも坂道ばかり。平らな場所がほとんどありません。ほんの少し歩いただけでも息があがってしまうので、あまり歩かなくなりました。

自宅の前の道も傾斜がきつく、散歩中のワンちゃんが登れないので、よく飼い主さんにダッコされて運ばれているほどなのです。

 ご近所に住む、70代後半の男性と話していた時のことです。

 毎日、けっこうな距離を歩かれているとのことでしたので、「こちらは坂ばかりで大変じゃないですか?」とお聞きしてみました。

 「いやいや!坂だからいいんですよ」

 「えっ!どういうことですか?」

 「いい運動になります。散歩の時間が少ししかとれない時には、わざと急な坂のあるルートを選んだ

 りして、調整しています」

 なるほど!

 確かに、坂道を歩くのは、食後血糖値の急上昇を防ぐためにもとてもいい習慣です。

 なぜなら、レジスタンス運動と有酸素運動のダブル効果を得られるからです。

 レジスタンス運動は筋肉に負荷をかける運動(筋トレなど)で、筋肉のサイズを大きくすることができます。それによって、ブドウ糖を取り込む容量が増えます。食後にブドウ糖がドサッと血中に流れこんできても、筋肉のキャパが大きければ、まとめて引き取ってくれるのです。ちなみに、有酸素運動には、筋肉のサイズを大きくする効果はあまり期待できません。 



 有酸素運動は、筋肉組織に張り巡らされている毛細血管を増やすのには有効です。毛細血管の数が増えると、筋肉細胞がブドウ糖を取り込むためのルートが増えることになります。短時間でたくさんのブドウ糖を取り込めるので、食後の血糖値がスムーズに下がりやすくなります。





 レジスタンス運動と有酸素運動を組み合わせると、こんな感じに。以前お話ししたように、運動には、インスリンの感度を高めたり、グルット4を増やしたりする効果もあります。しかもその効果は2、3日持続します。







 平坦な道での散歩は有酸素運動にしかなりませんが、坂道や階段を歩く時にはレジスタンス運動もプラスされます。プールを歩くことも、有酸素+レジスタンス運動になります。

 先ほどのご近所さんのお話は、「ここは散歩には最高の場所ですよ!伊豆に越してきて良かったなぁと喜んでいるんです」と続きました。

「伊豆高原は坂ばかりで大変……」とこぼしていたぼくは、恥ずかしくなって、直立不動で聞き入ってしまいました。

この方は大きな会社を経営されてきたようですが、何事も明るく前向きにとらえる性格が成功につながったのだろうなぁと思いました。

 歩いていて急な坂や階段に出くわした時は、「有酸素運動+レジスタンス運動の人」のイラストを思い浮かべて、「これはありがたい!なんてラッキーなんだ!」と、ぜひポジティブにとらえてください。

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