まず、サラッと前回までのおさらいです。
栄養素はトンネルの中にある専用の扉を通り抜けて、からだの本体に入ります。
からだの中に入れて良いものと悪いものは、厳密に管理されています。
そこで、腸の壁には空港の入国管理ゲートのようなチェック機能があります。
さて、からだ本体に入ったブドウ糖は、それからどこへ行くかというと……
最終的には、細胞に入ります。
ただ、細胞も中に入れて良いものと、絶対に入れたくないものを管理しています。
細胞膜の上には、ブドウ糖が通れる専用の扉が用意されています。
ブドウ糖が2つ3つつながったものには扉がありません。彼らが目の前にやってきても、細胞はパクリと飲み込むことができません。
「腸のトンネルから吸収されるのは1粒になったブドウ糖だけ」
とお話ししましたが、もし長いつながりのまま吸収されたとしても、そのままでは細胞に入れてもらえないのです。
つなぎ目をカットしてブドウ糖にすれば細胞に入れるのですが、そのためには専用のハサミが必要になります。
もし長くつながったブドウ糖を吸収するとしたら、からだ本体の中に専用のハサミを用意しておかないと、細胞のエネルギー源として役立てられません。
ですから、長いつながりのまま吸収しようとすれば、何かと面倒なことになります。
腸の壁に、いろいろなサイズに対応した扉を用意したり……
細胞膜にも、同じくいろいろなサイズの扉を用意したり……
ハサミを方々に配置したり……
一方、1粒の状態にまで切り分けたブドウ糖だけを吸収するシステムは、シンプルでスッキリ。
扉は1種類だけ用意すればいいので、ムダがありません。
ハサミもいりません。
このようにムダなく美しく完璧に作られた人体のシステムなのですが、それを支えているのが消化酵素です。
栄養素は、最後まできちんと分解されることで、吸収できるかたちになるし、からだの中で役立てられるかたちになります。消化管の中で、消化酵素(ハサミ)が栄養素のカットを完了してくれないと、システム全体がうまく回りません。
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