「逆さ富士」をご存知ですか?
波紋の全くたっていない湖面に、映し出された富士山を見ていると、あたかももう一つの富士の存在を感じざるを得ません。 正に「逆さ富士」そのものです。
ペルシャの詩人ルーミーは、次のように表現しています。
「あなたが私の中に見える美しさは、あなたの反射したものです」
これは、どのような意味でしょうか?
2つの教えがあります。
私たちは、他人の中に、良く(美しい)見えるところがあると、感じることがあります。
それは、あたかも、第三者への憧れや、理想として他人を見ていることにもなります。
だれもが、隣の芝生は、良く見えると、感じる時があるのではないでしょうか?
しかし、それを感じることができるのは、自分の中にある意識が、それを認識できるからです。
つまるところ、自分の中に持っているものが、反射して見えていることになります。
なぜなら、自分の中に存在しないものは、感じることができないからです。
これは、自分の中にある善の心や、悪の心にも、共通しています。
また、人を思う気持ちは、鏡のように、自分にも帰ってくるという真理でもあります。
二つ目に「逆さ富士」を、さらに深く言えば、
もし、写真のように見えている本物の富士山が、神や宇宙の存在を指すなら、
湖面に映し出された「逆さ富士」そのものは、私たち自身の心でもあります。
誰にも備えられている「仏心」は、私たちの本質であり、神や宇宙の意識に通じています。
そうは言っても、日常的に、神や宇宙を感じることができないのも、私たち自身です。
何故でしょうか?
古来より、「宇宙即我」とか、「神と一体になる」という表現が使われています。
最近では、「ワンネス」と言われている、あらゆる宗教を超えた新しい概念です。
具体的には、神や宇宙に通じる心境を得るということ。
その世界を感じられないのは、この湖の水面のような状態になっていないことが多いからです。
どういうことか?
波、風の立っていない湖の表面にこそ、神や宇宙の姿が映し出されるということです。
波とは、波動であり、波動が穏やかで、あればあるほど、神や宇宙が見え始め、
やがて一体感を感じとることができるのではないでしょうか?
大事なことは、波風のない、湖面であれば、はっきりと神や宇宙の波動を感じることができるはずです。
本年も、心穏やかに、お過ごしください。
合掌
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