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消化と吸収を助ける「ヨガ的な食事」② 【by 平田ホリスティック教育財団 理事 丸元康生】

  約6年間通っていたヨガ教室の先生は、ぼくにとっては今でも魂修行の師匠です。

 「スーリャナマスカーラ」という、ヨガ教室で必ずやるアーサナがあるのですが、それにからめて師匠はこんなお話をされたことがあります。


 「なんとなくスーリャナマスカーラを何万回やっても役に立ちません。出来ることから一つずつ、丁寧に、はっきりとやる。意識的にやり続ける。

 そうでないと、スーリャナマスカーラで自分のくるぶしが離れているのか、閉じているのかもわからないんです。離れたままやっている人は、閉じるという気持ちをくるぶしに向けて、『閉じる、閉じる、閉じる』って練習した時に初めて、脳とくるぶしの神経が通うんです。

 そうやって一つずつ脳と繋げていく作業をしない限りは、すべて漠然としているので、無駄な時間をただボーッと生きていることになってしまいます」


 日常生活のすべての時間を意味あるものにするために、一つ一つの動作を脳と繋げることが大切になるわけですね。もちろん、食事もボーッとして食べていると、無駄な時間になりかねません。


 分かりやすい例として、今日は、運動について考えてみましょう。

 運動トレーニングにはいくつかの原則があります。その一つが「意識性の原則」。「鍛えている部位をしっかり意識しながらトレーニングすると、より効果が高まる」という原則です。これはまさに、「動作と脳を繋げる作業」になります。


 たとえば、ヨガのクラスで腹筋をやる時、ぼくの頭の中は……

「キツイな~ あと50回やらなくちゃいけないから、適当にセーブしながらやらないと」

「クラス終わったら、焼き鳥で一杯やろう」

「今日は誰を誘おうかな」

「それにしてもキツ……早く終われ~」

 際限なく、雑念が湧き出していました。


 それよりも、正しいかたちで正しい刺激を入れることを意識して、さらに「片足で立つポーズでグラつかないように、3か月以内に体幹を強くする」などの目的意識を持って取り組む方が、トレーニング効果が上がるということです。


 運動中ずっと、「……3か月以内に……」などと頭の中で目標を復唱し続ける必要はありませんよ。ただ、意識を合わせるだけでいいのです。鍛えている部位を目でみたり、手でふれたりするだけでも意識を合わせる助けになります。


 動作と脳が繋がると、脳がからだの中のいろいろなシステムに働きかけてくれます。本来あるべき方向にすべてが動いていくように、脳がすべてを取り仕切ってくれるのです。

 

 たとえば、鍛えている部位に意識を合わせると、脳が方々に働きかけて……

 新しい筋肉細胞が作られ、筋肉が太く強くなります。

 筋肉組織にある毛細血管も増強されます。

 筋肉細胞により多くの栄養素が取り込まれるようになります。


 ちなみにぼくは、やっていることと脳を繋げるのが苦手です。

 トレーニング中は、「早くビール飲みたい」しか頭に浮かびません。

 食事を始めた途端、「早く仕事終わらせなきゃ大変」と急に気になり出します。

 仕事にとりかかるとなぜか、「メールの返事出すの忘れてた」といろいろ思い出すのです。


 こういう困ったタイプはどうすればいいのか?

 やっぱり、「(くるぶしを)閉じる、閉じる、閉じる」式に、頭に叩き込む練習から始めないといけないのでしょうね。

 目の前のことから、一つずつ、丁寧に。魂修行にショートカットはなさそうです。

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